不動産投資は、安定的な賃料収入が得られる「ミドルリスク・ミドルリターン」が期待できる投資のことです。そのため、上場株式や債券とは異なるリスク・リターン特性があり、並行して投資することで分散投資効果が期待できます。
安定的な収支が期待できる投資用不動産は、物件価格が高額になりますので、誰でも購入できるわけではありません。年齢・年収・金融資産・勤務先・勤続年数等により、不動産投資ローンの利用可否も異なりますので、投資用不動産の購入にはハードルがあります。
このような状況の中、近年では投資家が購入しやすいように、不動産投資も多様化が進んでいます。
2000年代以降は「J-REIT」、2010年代以降は「不動産小口化商品」、インターネット募集を可能とした小口化商品「不動産クラウドファンディング」と新しい投資方法が次々と登場しました。この記事では、従来の不動産投資方法と、新たな方法である「不動産デジタル証券」を比較し、それぞれの特徴と利点を探ります。
【不動産現物】
不動産現物投資は、実際の不動産を購入して賃貸収入や売却益を得る伝統的な投資方法です。現物資産としての不動産は、その価値が比較的安定しているため、資産保全やインフレ対策としても評価されています。投資家は金融機関から不動産投資ローンを利用でき、自己資金を2~3割程度に抑えたレバレッジ投資が可能です。これにより、限られた資金でも大規模な投資を行える点が魅力です。
【J-REIT (Japanese Real Estate Investment Trusts)】
J-REITは、日本の証券取引所に上場している不動産投資信託であり、投資家が少額の資金で多様な不動産ポートフォリオに間接的に投資できる方法です。J-REITを通じて、オフィスビル、ホテル、レジデンス、物流施設、商業施設などの幅広い不動産物件に分散投資ができるため、リスクを軽減した安定的な運用が期待できます。
【不動産小口化商品(任意組合型)】
不動産小口化商品の任意組合型は、複数の投資家が共同で一つの不動産を所有する仕組みであり、不動産特定共同事業法に基づいて運営されます。この投資手法では、投資家は1口100万円程度から参加できるため、個人でも好立地にある大型不動産への投資が可能です。不動産の小口化によって、相続対策や遺産分割対策としても活用されることが多く、資産を効率的に分割・運用する手段として注目されています。
【不動産クラウドファンディング(不動産小口化商品 匿名組合型)】
不動産クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の投資家から資金を集め、特定の不動産プロジェクトに投資する仕組みです。従来の不動産投資と比較して、少額から参加できる点が特徴です。この手法は、プロジェクトごとに詳細な情報が提供されるため、投資家は自分の資金をどのように活用されるかを把握することが可能です。
【不動産デジタル証券】
不動産デジタル証券(セキュリティ・トークン, ST)は、大型不動産やインフラなどの実物資産を、ブロックチェーン技術を用いてトークン化(電子化)し、有価証券として取引する新しい投資方法です。この投資手法は、従来の不動産投資と異なり、デジタル化された証券を通じて、少額から大型不動産に投資できる点が特徴です。デジタル証券は、2020年5月に施行された改正金融商品取引法により新たに定義され、投資家にとって革新的な金融商品となっています。
さまざまな不動産投資手法を徹底比較
新しい投資手法である不動産デジタル証券については、ブロックチェーン技術を活用した先進的な投資手法となり、少額から投資が可能である点が大きな特徴です。安定した価格変動やプロによる管理売買のオプションなど多くのメリットを享受できますので、新しい投資機会を求め投資家にとっても魅力的な選択肢となっています。不動産デジタル証券のメリットは少額からできる投資、ブロックチェーン技術を利用することで透明性とセキュリティが高い点。金融商品として証券化されているセキュリティが高い点はメリットになります。価格変動が比較的安定していますので、安定した利回りが期待できます申告分離課税に対応しているのもポイントです。J-REITと比較するポイントとしては価格変動と税制の部分、価格変動と新NISAに対応しているかの税制の部分も比較のポイントかなと思います。運用期間が限定されてますので、J-REITに比べて流動性が低い点が挙げられます。